地球と宇宙の科学
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恐竜絶滅原因の定説を最終確認:小惑星衝突説



恐竜が絶滅した原因として、これまでは二つの主要な仮説が対立してきた。ひとつは宇宙から飛んできた巨大隕石あるいは小惑星が地球と衝突し、その打撃で大規模な気候変動が起きて恐竜が絶滅したとするものだ。その詳細についてはこのブログでも取り上げたことがある。(恐竜を絶滅させた巨大隕石)

もうひとつは今日インドのデカン・トラップと呼ばれる地帯が白亜紀の末期に活発な火山活動を起こし、それが原因でやはり大規模な気候変動が起きて恐竜を絶滅させたという説だ。

この他にもいくつかの仮説が出されているが、専門家の間では以上の二つがもっとも蓋然性が高いとして、その優劣を論じ合ってきた。その結果最終的な結論として、小惑星の衝突の影響が恐竜を絶滅させたとする共通認識に達した。

恐竜が絶滅したのはいまから6500万年前のこと。それに先立つ数万年の期間にデカン・トラップが活発な活動をしたのは事実だ。火山の爆発は膨大な火山灰を空中に吐き出し、それが大気圏を覆い尽くして地球を寒冷化させたことは十分にありうる。しかし専門家による詳細な調査によれば、この数万年間における地球環境の変動は、恐竜の絶滅を説明できるほどドラスティックなものではなかったと結論付けられた。

一方小惑星の衝突は、短期間で地球に決定的な打撃を与えた。直径15キロもの巨大な物体が弾丸の20倍という高速で地球に衝突した結果、巨大地震、巨大津波を引き起こし、また膨大な塵灰を空中に巻き上げて大気圏を厚く覆った。その結果地球は急速に冷却した。

以上が相乗的に作用して、地球上の生物の多くが死に絶えた、こう推論するには十分な根拠がある。またそれは恐竜が非常に短期間で絶滅した事実とも符合する。なにしろ衝突の際のエネルギーは広島型原爆10億個分だったと推測されるから、あながち大げさな話ではない。

こういうわけで専門家の間では、小惑星の衝突による地球環境の変化が恐竜を絶滅させた原因だとする了解が成立した。

上の写真はロイター提供(東京国立科学博物館)







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