地球と宇宙の科学
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地球の生命は火星からやってきた?



地球の生命はもしかしたら火星からやってきたのかもしれない、こんな推測を交えながら、火星と地球の生命の起源とのかかわりについて、NHKの科学番組が検証していた。題して、「火星大冒険 生命はいるのか?」

今年の8月6日に火星に降り立った探査機キュリオシティが、火星の映像やその他の情報を続々と地球に送ってきている。NASAの研究チームなどがそれらを分析した結果、過去に火星に生命が存在していた可能性が非常に強く推測されるようになってきた。というのも、火星の自然的な条件が生命誕生に非常に適していることがわかってきたからだ。今後は、火星の土壌の中から、実際に生命の痕跡を発見することに努力が向けられるだろうという。

生命が誕生するためには、まず豊富な水がなければならない。そのうえで、温度環境や陸地と海との構成バランスなど、様々な要因が重なって生命が誕生する。

地球に原始生命が誕生したのは約40億年前。地球自身の誕生から6億年ほど後のことだった。現在の研究段階では、この生命の源となった有機物は、地球自身の内部からではなく、外部から隕石に乗ってやってきたのではないかと、考えられている。

その外部がどこなのか、これまでは判然としてこなかったが、キュリオシティのデータを分析する過程において、もしかしたら火星の有機物が隕石に乗って地球に運ばれてきて、それが地球の生命の源となったのではないかと、考えられるようになったという。そうだとすれば、火星は地球上の生命にとって母なる星と言うことになり、現在も火星に生命が存在しているとすれば、それは我々地球上の生命の兄弟だということになる。

今から40億年前の地球は、全体が海だった。そのような環境では、生命はかえって誕生しづらいという。有機物同志を結合させる作用が、水分によって阻まれるからだからと言う。そうした作用がさかんになるためには、海のほかに陸地が必要なのだ。ところが、40億年前の火星には、陸地と海とが両方ともあった。生命が誕生するためには理想的な条件だ。

こんなことから研究者たちは、まず火星において原始的な生命体が作られ、それを構成する物質の一部が隕石などに乗って地球にやってきたのではないか、そう推測するわけである。この推測は筋が通っている。

問題は現在の火星にも生命体の痕跡が残っているかどうかということだ。研究チームは、その可能性は非常に高いとみている。というのも、生命体はいったん発生すると、環境に激烈な変化が生じても、それを乗り越えて生き延びる能力を備えているからだというのだ。

地球でも、最も古い時代の生命体が粘土層の中から発見された例がある。粘土層は古い生命体にとってタイムカプセルのような役目を果しているわけだ。それ故、火星からも粘土層が見つかれば、その中から生命体の痕跡が出てくるかもしれないと、研究者たちは期待しているそうだ。(写真は火星探査機キュリオシティ:NASAから)







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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2012
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