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偉大な物理学者として尊敬されているホーキング Hawking 博士(上の写真:AFP提供)が、近著 Grand Design の中で大胆な発言をしているそうだ。英紙タイムズのダイジェスト記事によれば、「宇宙の誕生に創造者の手は必要ではない、それは物理法則にしたがって、自然発生した」というのが、発言の趣旨だ。 重力の法則をはじめとする物理法則によれば、無から有が生じるのは不思議ではない。むしろ存在しないことより、存在することのほうが自然なのだ、これがホーキング発言の要旨だ。 宇宙の創世を説明するについては、博士は今までも、神の介入を棚上げにしてきた。物理の法則は、神の意図によっても説明できるし、またその意図を前提にせずとも説明できる。神の手を持ち出さないでもすむものを、あえてそれを持ち出す必要はない、これが博士の基本的なスタンスだった。 だが、神を棚上げすることと、それを正面から否定することでは、その間には巨大な差異があるといわねばならない。それは理神論と無神論の差に匹敵するほど、大きな差異なのだ。 ホーキング博士が、このような見解を持つようになったのは、最近目覚しい惑星の発見によるものだった。太陽系以外の惑星を観察すると、そこにはあらゆるタイプの偶然が見られる。地球と太陽の間に成立しているかに見える、必然に基づく秩序は、宇宙の中では例外的だ。 この一見無秩序と見える惑星の偶然性の中から、どうして地球というような必然性をまとった天体が生じてきたのだろうか。博士はこんな疑問について考えているうちに、この宇宙には、目的因など神の存在を前提にするような因子は存在しないのだという確信を抱くに到ったのだそうだ。 宇宙は神の意志に基づいて整然として作られたわけではなく、偶然が積み重なって今のような姿になった。そこにみられる必然性は、存在というものの持つ、単純な性質を反映したものにすぎない、これが、博士が今の時点でたどり着いた、見解ということらしい。 |
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