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素粒子ニュートリノが光より早く飛ぶことを発見したとするニュースが世界中を震撼させた。もしそれが事実ならば、アインシュタインが確立した特殊相対性理論は誤っていたということになり、現代物理学は根本的な立て直しを迫られるからだ。その影響の大きさから、今回の実験グループも、「拙速な結論や物理的解釈をするべきではない」とコメントしている。 実験を行ったのは、日本の名古屋大や神戸大も参加する国際共同研究グループOPERA。スイス・ジュネーヴ郊外にあるヨーロッパ合同原子核研究機関(CERN)の加速器から打ち出されたミュー型のニュートリノが、約730キロ離れたイタリアのグランサッソ国立研究所の地下検出器に到着するまでの距離と時間を、全地球測位システム(GPS)を使って、3年間にわたり1万5千回以上測定した。 その結果、ニュートリノは光よりも1億分の6秒早く到着し、速度を計算すると真空中の光速(秒速約30万キロ)を、秒速7.5キロ上回った。 衝撃があまりにも大きいためか、今のところは、この実験結果に首をかしげる学者が多いという。というのも、この実験はGPSに頼っているが、それがはたして全面的に信頼できるかどうか、疑問があるからだという人が多い。 アインシュタインの理論によれば、光速を超える物体は負の質量をもつことになり、そこでは時計が未来から過去へと逆に進み、結果から原因が生じるという不具合なことが起きる。この不具合の世界では、人はタイムカプセルに乗って、恐竜時代にトラベルすることもできよう。しかしそんなことはありえない、というのが、これまでの物理学者たちのスタンスだった。実際に、これまでの世界でアインシュタインの理論で説明のつかなかったことは何も起こらなかったのだ。 東大の村山斉教授は、小柴昌俊氏らが1987年に発見した超新星ニュートリノの例を上げ、16万光年離れた天体から発せられたニュートリノと光のうち、今回のデータに基づけば、ニュートリノが数年早く地球に飛来するはずなのに、実際には同時に到着したという事実を紹介し、今回の「発見」には懐疑的だ。 いずれにしても、今回の発見が世界中の物理学者たちに巨大なプレッシャーとなるのは間違いない。(写真はアインシュタイン) |
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