地球と宇宙の科学
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宇宙の加速膨張は反物質が原因



宇宙が単に膨張しているだけではなく、加速度的に膨張していることが立証されたのは1998年のこと、その功績を評価されて、アメリカのソール・パールマッターとアダム・リース、オーストラリアのブライアン・シュミットの三氏が昨年(2011)のノーベル物理学賞を受賞した。

三氏は加速膨張の原因は暗黒エネルギーだろうと推測したが、暗黒エネルギーの実態や、それがどのようなメカニズムで加速膨張をもたらすかについては、明確な説明はできなかった。

この暗黒エネルギーについて、それが物質と反物質とが反発しあうときに生じる「反重力」ではないかとする仮説が発表された。

反物質とは、ビッグバンによる宇宙創造の時点で物質とともに生まれたということがわかっていたが、それが実際にどんな役割を果たすかについては、あまり明らかにはなっていなかった。この仮説によれば、反物質と物質とが接触することで反撥のエネルギーが生まれ、それが重力とは反対の作用、つまり反重力というべき作用を及ぼす。重力が物質同志をひきつけあうのに対して、反重力は物質同志を遠ざけあう。これが暗黒エネルギーの基本的な作用ではないか、そう推測するわけだ。

この仮説の提唱者、イタリアの宇宙物理学者マッシモ・ビラータ(Massimo Villata)氏は次のようにいう。銀河の谷間には巨大な空洞領域が広がり、そこには大量の反物質が存在している。この反物質が銀河内の物質と反発しあうことから暗黒エネルギーが生まれ、その作用によって銀河同志が遠ざけあっているのではないか。

氏によれば、天の川銀河に最も近い空洞領域は「ローカルボイド」で、おとめ座超銀河団の中に位置する。このローカルボイドを囲んでいくつもの銀河からなるローカルシートが存在している。そのローカルシート内の銀河の物質がローカルボイドの反物質と反発しあうことで、天の川をはじめ多くの銀河がローカルシートから遠ざかるとともに、互いからも遠ざかっているのではないか。

このモデルを宇宙全体に拡大適用すれば、宇宙には無数のローカルボイドがあり、それがまた無数のローカルシートと反発しあうことで、宇宙全体が反重力の作用によって、加速膨張している、そういう結論につながるというわけなのである。(イメージはビッグバン以降の宇宙膨張を表したもの:NASAから)







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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2012
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