地球と宇宙の科学
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生命生存に適した惑星:Kepler-62-e



ケプラー望遠鏡を使って系外惑星の研究を進めているNASAのグループが、このたび生命存在にとって最も適した環境の惑星を発見したと発表した。それは地球から1200光年の距離にある赤色矮性を親星とする双子の惑星で、いづれも温度や大きさなどが、生命存在にとって非常に有利な条件を備えているという。研究グループはこの双子の惑星をKepler-62-e及びKepler-62-fと名づけた。

惑星探査を目的とするケプラー望遠鏡はこれまでの四年間に122の系外惑星を発見してきたが、いずれも生命の存在を強く裏付けるようなデータは得られなかった。生命存在にとっては、位置がいわゆるハビタブル・ゾーンにあることと、地球と同様の岩石質であることとの両方の条件を満たすことが必要だが、そのような理想的な条件を備えた惑星が見つからなかったのだ。ハビタブル・ゾーンに位置しているのにサイズが大きすぎたり(ガス状である可能性が高い)、適当なサイズで岩石質である可能性があってもハビタブル・ゾーンを外れていたりといった具合だった。

それが今回発見された双子の惑星は、親星からの距離がハビタブル・ゾーン内にあって、大きさも地球とあまり変わらないといった具合に、生命存在の可能性を強く感じさせるという。ちなみに親星は赤色矮性であることから太陽の五分の一のエネルギーしかない。それに対して双子の惑星のうち一つは、太陽に対する地球の軌道よりも内側をまわり、もうひとつは地球と火星の中間の軌道をまわっている。その結果、内側の星はハワイほどの気温で、外側の星はアラスカほどの気温だろうと推測されている。どちらの星にも生命が存在する可能性はある。

もしこれらの星に生命が存在しているとすれば、その生命は地球のそれより進化している可能性が高い。というのも、この親星は太陽より25億年も古い時代(70億年前、太陽は45億年前)に生まれているからだ。惑星も親星とほぼ同じ頃に生まれたと推測できるから、この惑星上の生命は、地球よりも長い進化を遂げてきた可能性があるわけだ。

もっともこれらの惑星に生命が存在し、それらが地球上の人類より高い頭脳を持っていたとしても、1,200光年と云う距離(1光年は10兆キロメートル)は超えられないだろう。(映像は想像図、手前上部がKepler-62-f、その下がKepler-62-e:APから)

(参考)NASA telescope discovers distant planets on which life could possibly flourish:AP





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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2012
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