地球と宇宙の科学
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矮小銀河「M60-UCD1」の中心に超大質量ブラックホール


超小型の矮小銀河の中心に超大質量ブラックホールが存在することを、ハッブル宇宙望遠鏡を用いた観測で発見したとの研究結果論文が科学誌ネーチャーに載ったそうだ。この論文によれば、この超大質量ブラックホールは、地球から約5000万光年の距離にある矮小銀河「M60-UCD1」の中心部にある。

このM60-UCD1には1億4000万個の星が詰まっているが、直径は天の川銀河の500分の1の300光年しかない。一方このブラックホールは、太陽の2000万倍、天の川銀河の中心にあるブラックホールの5倍に相当する質量を持っている。これはこの銀河の全質量の15パーセントに相当する。

大質量のブラックホールは、これまで天の川銀河を含む大型銀河の中心でのみ見つかっており、このような小さな銀河で見つかったのは初めてだという。

そこで、このブラックホールがどのようなプロセスで発生したかが問題となる。いまのところ、二つの可能性が考えられる。その一つは、M60-UCD1がかつてははるかに巨大な銀河の一部だったのが、銀河が分裂してブラックホールを含む部分が矮小銀河となったというもの。

もう一つは、重力によって銀河内の星々が中心部に引き寄せられ、その結果銀河が矮小化する一方、星を次々と呑み込んだ中心部のブラックホールが超巨大質量を持つようになったというものだ。

先日、超銀河団ラニアケアを紹介した記事の中で、銀河団の中の銀河が、超銀河団中心部の重力によって中心部に引き寄せられる現象が起きていることに触れたが、それと同じメカニズムが矮小銀河とそれを構成する個々の星との間でも生じた、と考えることができなくもない。





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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2012
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