地球と宇宙の科学
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46年ぶりの皆既日食:硫黄島では完璧に観測できた



今日2009年7月22日は、日本で46年ぶりに皆既日食が見られるとあって、日本中が大フィーバーした。事前のガイドによれば、午前11時前後を境に、南西諸島から小笠原にかけての諸島で、最大6分間にわたり、ダイアモンドリングをはじめとした皆既日食の美しい光景が見られるとあった。

ところが今日はあいにくの天気。大勢の人がこの稀有の現象を自分の目で見ようと押しかけた南西諸島は、朝から厚い雲に覆われた。だが鬼界島や硫黄島周辺は晴天に恵まれ、完璧な形の皆既日食を観測できた。上の写真は気象庁が配信したその様子である。すっぽり月の影に覆われた太陽の周りから、コロナの光が輝き出しているさまが、よく見える。

硫黄島では、10時頃に月の影が太陽を覆い始め、つまり太陽が欠け始め、11時25分に写真にあるような状態に達したという。テレビ報道の画像で見ると、皆既日食を迎えた下界は暗黒の世界に化しながらも、水平線のあたりは夕日のように赤く染まっている。これは日食が作る影の周辺の太陽の明かりが、あたかも夕日のように人の目に見えるのだということらしい。

今回最も長い間皆既日食が見られると宣伝された悪石島には、大勢の天文学ファンが押しかけて、前の晩から観測準備に余念がなかったと聞くが、悪天候のために太陽そのものを見ることができなかった。それでも日食が起こるべき時刻になると、一面真っ暗闇になり、人々は日食が起こっているということを肌で感じることができたと喜んでいた。

一方、日本の各地では、部分日食が観測された。関東地方でも、北部の山沿いでは、太陽の一部が蝕まれていく様子がよく見られたという。しかし東京など関東地方の南部は朝から厚い雲に覆われ、見ることはできなかった。筆者などは、午前11頃になると外に飛び出して、少しなりと日食の肌触りを感じてみたいと思ったのだったが、空が暗くなることもなく、何事も起こらなかったように過ぎ去ってしまった。

今回の日食は、インドの西海岸で日の出と同時に始まり、ブータン、上海を経て、日本の南西諸島を横切り、その後太平洋上で消えたそうだ。その間わずか3時間くらいの出来事だったという。

日本で次に皆既日食が見られるのは、23年後とのこと。それまで生きていられるかどうかわからぬが、できうれば美しい日食を自分の目で見たいものだ。







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