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深海の不思議な生物たち



上の写真(AP提供)は深海で発見されたナマコの仲間。透明なボディの中に消化管が見え、足元にはたくさんの触毛が生えている。この触毛をつかって一分間に2cm移動し、海底に浮遊している物質を消化管の入り口から飲み込んで、栄養分を補給しているらしい。栄養分は泥ごと丸呑みするので、消化管はこんなにも太いのだろう。上部に開いた口のように見えるものは、肛門らしい。

海洋生物学者の国際機関は、これまで10年ごとに海洋生物統計を作成してきた。2010年の改定に向けた今回の調査は、かつてない成果を挙げているそうだ。これまで余り知られることのなかった深海の海洋生物についても、数千種類が新たに見つかったという。

深海の生物は種類も少なく単調な分布をしているものと思われていた。1000メートルを超えるような深い海には光も届かず、また栄養分も乏しいことから、そこに住む生物は限られていると考えられたからだ。しかし調査の結果、種類も数も分布も、意外と複雑な様相を呈していることが明らかになった。

今回発見された深海生物の中には、40種類の珊瑚、ヒトデやイソギンチャクの大集落を始め、奇妙な単細胞生物から巨大なイカにいたるまで、実にバラエティに富んだ生物が含まれている。

生物たちの栄養源になっているのは、海面からおちてきた有機分や、鯨の骨といったものだ。中には海底から湧き出るメタンガスや石油を栄養源にしているものもある。厳しい条件の中で生き残りをかけて適応しているのがわかる。

研究者たちのグループは、今回の調査を踏まえて詳細な海洋生物マップを作りたいと考えているそうだ。地上の生物は植物動物あわせて全部で150万種ばかりが確認されているが、深海を含めた海洋にも、それに匹敵する生物がいるはずだということだ。







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