地球と宇宙の科学
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地震の大変動期に入った? 富士山も噴火するかもしれない


NHKスペシャルの特集「メガクェイク」第三集が、「"大変動期"最悪のシナリオに備えろ」と題して、かなりショッキングな予測をしていた。あの3.11が引き金になって、日本は地震の大変動期に入ったのではないか、そのため関東にも巨大地震が発生する可能性が高まり、また富士山も大噴火するかもしれない、というのだ。

こうした予測は二通りのデータに支えられているという。一つは、今回の一連の地震によって得られた詳細なデータ、とりわけ、日本周辺の海底プレートの動きだ。もう一つは、過去に起きた巨大地震をもとにしたシミュレーションである。

日本の太平洋岸には、周知のとおり、三陸から東海、東南海、南海と展開する太平洋プレートがあり、それが日本列島を乗せているプレートの下にもぐり込んでいる。このほか、関東地方の南部の海域には、フィリピン海プレートと呼ばれる者が東西方向に伸びていて、それが太平洋プレートより浅いところで、日本列島のプレートの下にもぐり込んでいる。3.11以降の観測によれば、太平洋プレートとの接触面での地震エネルギーがまだ完全には解放されていないことに加え、フィリピン海プレートの地震エネルギーはかつてなく高まっていると推測される。このことから遠からず、マグニチュード8以上の地震が関東地方を襲う恐れも十分に考えられるという。

プレートにかかる巨大な圧力は、関東地方に存在するいくつかの活断層を刺激して、直下型地震を引き起こす可能性が高いという。そうした活断層の中で最も懸念されるのは立川断層だ。この断層の周辺には200万人の人が生活しているから、地震のもたらす被害も巨大になる可能性が高い。また立川断層に並行して走るうくつかの断層の一つは、新宿や池袋の地下を通っている可能性があり、もしそうなら、大都市の直下で大地震が起こる可能性もでてくる。

プレート内の圧力の変化は、火山の噴火活動にも影響をもたらす。たとえば、富士山が噴火する可能性が高まる。富士山の地下に閉じ込められていたマグマの塊が、今回の地震に伴う地層の変動によって活発化し、地上へ吹き出てくる可能性もあるというのである。

過去に起きた地震の記録を調べると、マグニチュード9クラスの地震が起きると、それは一回きりでは収まらず、次々に連鎖反応を起こすことが指摘される。たとえば、日本では869年に三陸で巨大地震と巨大津波が発生したが、その9年後の878年には関東沖で、さらにその9年後の887年には南海トラフで巨大地震が発生した。またこの間に、富士山が巨大噴火している。

また最近一世紀の間に世界で発生したマグニチュード9以上の巨大地震は5回あったが、そのいずれもが、短い間隔で巨大地震を繰り返し、またかならず火山の噴火をともなった。このことからしても、今後遠くない将来に、関東地方や東南海が巨大地震に襲われ、また富士山が噴火する可能性も無視できない。

こう言われてみると、我々はいまや深刻な危機に直面しているといって過言ではない。番組ではあくまで可能性の問題であって、絶対に、しかもすぐに起こる、と言うわけではないと強調していたが、それにしても、事態は深刻だと言わざるを得ない。

先日は、数年以内に関東地方がマグニチュード8クラスの地震に見舞われる確率は70パーセントだなどという話が伝わって、人々を大いに驚かせたが、必ずしも荒唐無稽な予言ではなかったわけである。







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作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2012
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