5月21日午前7時半過ぎに、首都圏でも金環日食が見られるというので、筆者も家内に用意してもらった太陽グラスを手に、待ち構えた次第。なにしろ、首都圏で金環日食が見られるのは、筆者が生まれて初めてのことだというから、よほど貴重なチャンスだったわけである。
6時半過ぎに日食が始まった。その頃はまだ、空は晴れていた。太陽グラスを通して見ると、右上が欠けて、齧られた煎餅のような形に見える。7時過ぎには日食は進み、三日月のような形になった。しかし、7時10分頃から、厚い雲が東側からやってきて、太陽の光を遮るようになった。7時20分頃には、太陽が雲に隠れて、何の気配もしなくなってしまった。
それでも、根気強く空を見上げていると、7時35分前後に、雲の合間から、瞬間的に金環日食のリングが見えた。光線が弱いと見えて、肉眼で見える。かえって、太陽グラスを通しては何も見えない。
こんな具合で、ちらりと垣間見えただけだったが、金環日食の何たるかは、網膜の底にイメージとなって残った。
なお、日本国内で金環日食が見られた記録としては、1987年9月23日の沖縄での観測が最新のもので、今回のように広範囲で見られるのは、平安時代以来932年ぶりのことだという。道理で筆者にとって初めての経験になったわけだ。
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