地球と宇宙の科学
HOMEブログ本館東京を描く美術批評動物写真集フランス文学日本文化プロフィールBBS

熱い氷でできた星:宇宙の謎


水は融点以下の温度では固体(氷)、沸点以上の温度では気体(水蒸気)というのが、地球上での常識である。融点と沸点は気圧と相互関係にあるので、多少の揺れはあるものの、だいたい摂氏零度が融点の目安、同100度が沸点の目安となっている。氷は冷たいもの、水蒸気は熱いものというのが、我々地球人の持つイメージだ。

ところが宇宙には、熱い氷というものも存在するらしい。地球から33光年離れた矮星にGJ436というものがあるが、その周囲を回っている惑星が、どうやら熱い氷でできている可能性が高いというのである。

この惑星は2004年に発見され、その後精密な望遠鏡を用いてサイズや質量の研究がなされてきた。その結果、この星は水でできている可能性の高いことがわかった。水が存在するということは、生物が存在する可能性もあることだから、研究者たちは大いに関心をそそられたらしい。

ところがこの星は、親星たる恒星にあまりにも近いために、摂氏250度という高温なのである。その高温にかかわらず、星は水のかたまりとして、天体としての実体を保っている。しかもその水は灼熱状の氷になっているという。

こんな高温の条件下で、何故水が固体でありうるのか、その理由は、星の質量と圧力にあるらしい。この星はおそらく質量が稠密で、しかも想像を絶する圧力にさらされているのだろう。その結果、溶けたり蒸発したりすることなく、熱い固体状の氷として、恒星の周りをまわっているらしいのである。

宇宙は広くかつ深い謎に包まれている。熱くしかも固体状の水があることなど、地球規模の範囲でものを考えている限り、想像に絶することではあるが、宇宙の事実としては珍しくも何ともないのであろう。

太陽系の中にも、氷の星はある。天王星と冥王星がそれだ。これらはいづれも、太陽から遠く離れているので、氷は無論冷たいはずだ。

(参考)
Hot ice may cover recently discovered planet By Maggie Foxx : Reuter







HOME星、星雲、銀河






作者:壺齋散人(引地博信) All Rights Reserved (C) 2012
このサイトは、作者のブログ「壺齋閑話」の一部を編集したものである