地球と宇宙の科学
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宇宙の驚くべき実像:銀河爆発の可能性


ここ数年間における天文学の進歩は目を見張るばかりだ。地球からはるか彼方にある惑星が次々と発見されているのはその象徴的な出来事である。最近日本ではUFO論議が盛んになっているが、それは、このような惑星に高度な知性を備えた生き物がいるかもしれないという予測が、現実味を帯びて語られるようになったからだろう。

こうした発見の背景にあるのは、強力な望遠鏡の登場と、スーパーコンピューターによる解析が進んだおかげだ。これらを駆使することによって、今まで見えなかったものが見えるようになったのである。

ブラックホールなどは、一昔前までは、それが宇宙のどこかに存在することが理論的にわかっていても、現実のものとして想像することはむつかしかった。ところが最新の望遠鏡は、近づいてくる星や物体を次々と飲み込んでいく不気味な黒い影を見せてくれる。天文学者によれば、それはアリたちを飲み込む蟻地獄のようなイメージに写るそうだ。しかもこのブラックホールは、宇宙空間のいたるところに存在しているらしい。

ブラックホールの例でわかるように、宇宙とは、御伽噺の世界のようにロマンティックで調和のとれた空間ではなく、ダイナミックに変転し、衝突と破壊に満ちた空間であるらしい。

衝突の最たるものは銀河同士の衝突だ。銀河は互いの重力によってひきつけあうが、そのときの力のバランスによって、大きいものが小さいものを飲み込んだり、引きちぎったり、あるいは対等に融合しあって巨大な爆発を起こしたりする。これを天文学者は「天体のカタストローフ」と呼んでいる。

太陽系が属している銀河も、このカタストローフの可能性と全く無縁ではないらしい。40年ほど前に、銀河の近くに他の巨大な星雲の存在が確認されたが、最近の研究によれば、この星雲はすさまじい速さで銀河に接近しているという。

この星雲は太陽の100万倍の質量を持ち、地球からは4京7千兆マイル離れており、秒速150マイルの速さで銀河に向かって突進している。もしこれが銀河に突入すると、そこでは巨大な爆発がおこり、銀河全体がその爆発によって生じた光で輝くだろう。爆発後に新しい星が生まれる可能性は非常に高い。

だが、この爆発は銀河の周辺部で起こるため、地球が直接のダメージを受けることはないだろうと思われる。またその爆発が起こるのは、計算上4000万年先のことだと推測されている。

人間的な狭い尺度の中で生きている我々人類にとっては、想像力を超えた話だ。

(参考)Astronomers describe violent Universe By Seth Borenstein







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