地球と宇宙の科学
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ハッブル宇宙望遠鏡からの贈り物




今年(2009)の5月に大修理を施されたハッブル宇宙望遠鏡、夏以降徐々に新しい映像を地球に送るようになったが、このたび、いくつかの天体を詳細かつ鮮やかに映し出した映像がNASAによって公表された。(上の写真:ロイター提供)

これらを写し取ったカメラは、以前のものに比べて飛躍的に優れた性能を持っており、これまでぼんやりとしか写らなかった天体がくっきりと映し出されている。そのため星の形や色合いを細かく確認できるほか、生成から死滅に到るプロセスも詳細にたどることができるようになった。

左上の写真は、星雲の形が蝶のように見える。以前のカメラでは、ここまで鮮やかには捕らえられなかった。羽のように見える部分は無数の小天体とガスで形成されており、将来はこの部分から新しい星が生まれるだろうと推測されている。地球からわずか10万光年の距離にある天体だそうだ。

右上の写真では、いくつかの銀河が重なり合っているように見える。光る塊として見えるのは、銀河に充満しているガスが内部の星の光によって明るく輝いているからだ。

左下の写真は、密集したスターダストを映し出したもの、青く見える部分は高熱、赤く見える部分は低温の部分を示している。

右下の星雲は巨大なガスの塊だ、面白いことにカメラの受容波長を調整すると、この中から生まれたばかりの星が現れる、つまり星が誕生した瞬間が目撃できるのだという。

このカメラによって、今後宇宙の神秘を解き明かすさまざまな映像が送られてくるだろう。先日は木星に小天体が衝突した貴重な瞬間を映し出したそうだが、あまりに不意のことだったので、モノカラーでかつぼやけた映像にとどまってしまったそうだ。

NASAでは近いうちに、宇宙の先端を撮影したい意向だという。それが実現すれば、ビッグバンのときの宇宙の状態について、大きなヒントがえられるに違いない。

(参考)Newly Fixed Hubble's Deep Space Photos Again Amaze AP







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